農業と教育における,足し算と引き算
じゃがいもを掘ってきました.
大地の栄養を十分に吸収した,まるまるとしたじゃがいもが,
ひっくり返した土の中から,コロコロと顔をのぞかせます.
そんないもたちを見ていると,
ほくほくと優しい気持ちになるのです.
そのときに,僕の師匠から,農業には「足し算の農業」と「引き算の農業」があると教えて頂きました.
「足し算の農業」では,作物が育つために良いと思うものを生産者の都合でどんどん与えるのに対し,
「引き算の農業」では,作物が育つ力を信頼し,土作りと必要なときのサポート以外のいらない手出しは一切しないのだそうです.
この二つの間にある決定的な違いは,なんでしょう.
それは,植物に対する「信頼」です.
足し算の農業には,「ちょっと危なっかしいなぁ」という怖れがあり,
引き算の農業には,その怖れがありません.
この農業における図式は教育にもそのまま当てはまるような気がします.
大人が子供に必要と考えるものを与える「足し算の教育」と
子供の育つ力を信頼した「引き算の教育」です.
「足し算の教育」には怖れがあり,
「引き算の教育」には怖れがありません.
「
愛とは,怖れを手放すこと」
ジェラルド・G. ジャンポルスキーさんの名著が示すように,
怖れを手放すことが愛ならば,
本当の意味で愛のある「引き算の農業」や「引き算の教育」が,
これからの時代を作っていくのではないでしょうか.